2021年からマイナンバーカードの健康保険証利用が開始されています。保険証を利用することで、病歴や投薬歴をマイナポータル上で確認できるようになりました。また、マイナポイントの対象にもなっていました。しかし、生活保護受給者は、国民健康保険の被保険者から除かれているため、マイナンバーカードの健康保険証利用の対象に含まれていません。そこで政府は、生活保護受給者がマイナンバーカードを使って医療扶助資格確認を行うことができるように整備を開始しました。この記事では、生活保護受給者はマイナンバーカードを作れるのか、マイナンバーカードを使った医療扶助資格確認方法などを中心に、保険証利用や医療扶助制度についても解説します。
こんな方におすすめ
- 生活保護受給者の医療扶助制度について知りたい方
- 医療扶助オンライン資格確認について知りたい方
この記事でわかること
- マイナンバーカードを使った医療扶助資格確認
- マイナポイントの収入認定の取り扱いについて
生活保護受給者はマイナンバーカードを作れる?
生活保護受給中でもマイナンバーカードを作ることはできます。
マイナンバーカードの発行には、生活保護の受給によって制限される取り決めはありません。そのため、マイナンバーカードを発行してもらい、身分証明書やマイナンバーの確認のために活用できます。
ただし、生活保護受給者は国民健康保険の被保険者から除外されているため、マイナンバーカードを保険証として利用することはできません。
マイナンバーカードの健康保険証利用
マイナンバーカードの健康保険証利用とは、その名の通り、マイナンバーカードを医療機関等で提示する健康保険証の代わりに利用できることを意味します。これにより、病院に保険証を持参しなくても、マイナンバーカードを提示することで受診することができます。
また、マイナポータルで特定健診情報や薬剤情報・医療費を閲覧できるようになるなどのメリットがあります。



生活保護受給者の医療扶助制度
生活保護受給者は、国民健康保険の被保険者から除外されています。そのため、健康保険証を持っていません。
国民健康保険に替わって、生活保護受給者の 医療費は、その全額を医療扶助で負担しています。医療扶助は、生活保護法の指定を受けた医療機関でのみ受けることができます。医療扶助制度においては、地方公共団体の社会福祉事務所等が医療券などを発行する必要があります。
このように生活保護受給者は、健康保険証を保有していないため、マイナンバーカードの健康保険証利用の対象にはなりません。
マイナンバーカードを使った医療扶助資格確認
以上のように、生活保護受給者は、国民健康保険の被保険者から除外されており、健康保険証を保有していないため、マイナンバーカードの健康保険証利用の対象にはなりません。
そこで、生活保護受給者に対しては、マイナンバーカードを使った医療扶助におけるオンライン資格確認が行われます。
マイナンバーカードを使った医療扶助資格確認の概要
オンラインの資格確認が開始することで、原則として、受給者が医療機関や薬局等で資格確認を行う場合には、マイナンバーカードを用いることとなります。
受給者側の変更点は、本人確認にマイナンバーカードを用いることのほかに、医療券を福祉事務所の窓口に取りに行くという手間が不要になります。
詳しくは厚生労働省の図解資料をご覧ください。
医療扶助資格確認の開始時期
マイナンバーカードを使った医療扶助におけるオンライン資格確認については、2019年頃からすでに、「新デジタル・ガバメント実行計画」において、その方向性が示されていました。
その後、同計画は検討会における議論等を踏まえて、2020年12月15日に閣議決定されています。
そして2023年5月から、マイナンバーカードを使った医療扶助資格確認が行われることとなっています。
参考
厚生労働省|医療扶助におけるオンライン資格確認の導入
厚生労働省|医療扶助のオンライン資格確認
政府CIOポータル|デジタル・ガバメント実行計画
医療扶助資格確認でできること
マイナンバーカードを使った医療扶助におけるオンライン資格確認が開始される(本人確認にマイナンバーカードを用いる)ことにより、さまざまなことができるようになります。

例えば、医療券を福祉事務所の窓口に取りに行く必要がなくなります。また、マイナポータルから自身の健診情報を閲覧することができ、よりよい医療サービスを受けることができます。
マイナポイント
ここまで、生活保護受給者は、健康保険証を持っておらず、保険証利用をできないということを説明しました。そうすると、「保険証利用ができないのであれば、マイナポイントをもらえないのでは?」という疑問が出てくるかもしれません。
この点について政府は、生活保護受給者であっても、保険証利用の申し込みによるマイナポイント付与の対象になると説明しています。また、受給者の収入として認定しないこととしています。
まとめ
ここまで見てきた通り、生活保護受給者は、国民健康保険の被保険者から除外されており、健康保険証を保有していないため、マイナンバーカードの健康保険証利用の対象にはなりません。
他方で、2023年5月から、マイナンバーカードを使った医療扶助におけるオンライン資格確認が開始されることとなっています。
これにより生活保護受給者は、医療券を福祉事務所の窓口に取りに行く必要がなくなることや、マイナポータルから自身の健診情報を閲覧することができ、よりよい医療サービスを受けることができるなどのメリットを享受することになります。