「マイナンバーカードの健康保険証利用」の話題が、新聞でもよく取り上げられるようになりました。マイナンバーカードに保険証の機能を付加しようという取り組みですが、単に「マイナンバーカードだけで病院や薬局を利用できる」ということに留まりません。病院の受付や諸制度の申請をオンライン化することにより、より質の高い医療が実現します。
こんな方におすすめ
✓マイナンバーカードと保険証が一体化するメリットを知りたい方
✓マイナンバーカードを保険証として活用したいと考えている方
✓どうすれば保険証と一体化できるのか知りたい方
この記事でわかること
✓マイナンバーカードと保険証の一体化について
✓保険証と一体化するメリットについて
✓保険証と一体化する方法について
マイナンバーカードと保険証の一体化が開始
今年から、マイナンバーカードと健康保険証の一体化が始まります。
一体化することにより、マイナンバーカードを保険証として利用でき、なおかつ医療に関わる様々な情報をいつでも閲覧・確認することができるようになります。
この一体化機能を利用する際には、インターネットによる事前申込が必要です。
保険証一体化のメリット
ここからは、マイナンバーカードと保険証が一体化されることによる具体的なメリットを解説します。

マイナンバーカードと健康保険証の一体化については、当初2021年3月までに本格運用が開始される予定でしたが、10月以降に先送りされることになりました。
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医療に関する情報をいつでも閲覧できる
マイナンバーカードを利用することにより、自分が今までに受けた検診や入院歴、そして入手した薬の種類や量などをいつでも閲覧・確認することができます。これは旅行先や災害発生時でも、過去の医療履歴が共有される仕組みです。たとえば病院で風邪の診察を受けると検診や入院歴、処方された薬の種類などが自動的に保存されます。
この仕組みは、2021年10月から実施される予定です。
受付が自動化される
今後、全国の医療機関・薬局にマイナンバーカードを認識する端末が設置される予定です。設置される端末には顔認証システムが内蔵されていて、カードの所持者が本人か否かを判断します。
自動受付端末は、人との接触を減らせるため、感染症対策としても有効です。
確定申告の医療費控除が簡単にできる
医療データが自動記録される際には、かかった費用も記録に残ります。今までは領収書を保存しなければなりませんでしたが、マイナンバーカードと保険証の一体化により、マイナポータルとe-Taxを連携させたスムーズな医療費控除手続きが可能になります。
上記の仕組みは2021年度分所得税の確定申告から利用できます。
いざという時の書類提出が不要になる
突然の大病や入院で高額の医療費が発生してしまった場合、保険加入者は「高額療養費制度」を利用することができます。
その枠組みの中で、事前に限度額適用認定証を取得すれば、支払い上限額以上の費用は免除されます。
現状その適用を受けるためには紙の申請書類を書いて提出する必要があります。今後整備される予定のオンライン資格確認システムを用いれば、原則として申請なしで限度額が適用されることにます。
転職・引っ越し後も引き続きマイナンバーカードを利用できる
転職や引っ越しの際、保険証は新しく作り直さなければならないこともあります。
たとえば、個人事業主(国民健康保険加入者)が別の市区町村へ引っ越す場合、保険証を転居先の自治体窓口で作ってもらう必要があります。それまでの保険証は返納しなければない上、新しい保険証が届くまでの「保険証なし」の期間が発生してしまいます。しかし、マイナンバーカードに一体化すれば、保険証そのものを作り直す手間がなくなります。この面でも書類作成・提出の手続きが簡略化されます。
申込登録の方法
マイナンバーカードと保険証の一体化を行うには、マイナンバーカード所持者による初回登録が必要です。
以下、保険証一体化の申込登録の方法を説明します。
PCを使った申込
PCとマイナンバーカードを読み込むICカードリーダーがあれば、自宅にいながらマイナンバーカードの保険証利用申込ができます。
まずは『マイナポータルAP』をPCにインストールし、その上でICカードリーダーを使用できる状態にします。使用するブラウザによって手順が異なるため、詳しくは以下の動画とリンク先記事をご参照ください。
スマホを使った申込
PCだけでなく、スマートフォン(Android、iOS)のマイナポータルAPというアプリを使って申込をすることもできます。
ただし、マイナンバーカードを読み込まなければならないため、それに対応できる機種とそうでない機種があります。対応機種については、マイナポータル公式サイトで確認することができます。
医療機関に設置のカードリーダーで申込
PCやスマホの操作が苦手な人は、医療機関に設置されている顔認証付きカードリーダーで初回登録をするという方法もあります。先述の自動受付端末と同じものです。
現時点で全ての医療機関にカードリーダーが置かれているわけではありませんが、政府は「2023年3月末には概ね全ての医療機関でのカードリーダー導入を目指す」としています。
また、各地の医療機関及び薬局で、この申込のサポートを実施するようになりました。デジタル機器の操作に慣れない人にも配慮された取り組みが行われています。

マイナンバーカードでより良質な医療を
通院履歴や薬剤情報を逐次データ化することで、より質の高い医療を実現させようという試みがついに始まろうとしています。
書類提出の手間や病院受付の待ち時間など、それまであった煩わしさが過去のものになりつつあるようです。