2022年3月から、国に対して預貯金口座の情報をマイナンバーとともに登録する「公金受取口座登録制度」が開始されています。預貯金口座の情報をマイナンバーとともに事前に国(デジタル庁)に登録することによって、申請書への口座情報の記載や通帳の写し等の添付、行政機関における口座情報の確認作業等が不要になることが期待されています。また、「口座との紐づけ」が怖いと考える方に向けて、本当に怖いのか、口座と紐づけするデメリットがあるのかも考えていきます。
こんな方におすすめ
- マイナンバーと口座の紐付けについて知りたい方
- 公金受取口座登録制度について知りたい方
- マイナンバーの口座紐づけが怖いと感じる方
この記事でわかること
- 公金受取口座の登録方法について
- 公金受取口座の登録情報について
- マイナンバーの口座紐づけのデメリット
公金受取口座登録制度とは
制度概要
公金受取口座登録制度とは、国民が一つの預貯金口座を給付金等の受取のための口座(公金受取口座)として、国(デジタル庁)に登録する制度です。登録した口座番号等の口座情報は、給付金の支給を行う行政機関等に提供されます。
今までの給付金では、申請をする側も給付側(事務処理)も多くの労力が必要でした。公金受取口座の登録をしておくと、給付金の申請手続き等において、口座情報の記載や、通帳の写し等の添付等が不要になります。
公金受取口座の登録は、義務ではなく任意となっています。登録をしたくない方は登録をする必要はありません。
制度目的
公金受取口座登録制度の目的は、公的給付の支給などを迅速かつ確実に実施することと説明されています(公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律1条)。
つまり、スムーズかつ正確に給付金の給付などを行うことを目的としています。この目的を達成するために、公金受取口座登録制度が行われています。
登録のメリット
公金受取口座を事前に登録しておくことで、緊急時の給付金等の申請において、申請書への口座情報の記載や通帳の写し等の添付、行政機関における口座情報の確認作業等が不要になります。
また、児童手当、年金、所得税の還付金等の幅広い給付金等の受取に活用することができるようになります。
また、公金受取口座の登録は、「マイナポイント第2弾」の対象となっており、7,500円分のポイントを受け取ることが可能です。

マイナンバーと銀行口座の紐付けの登録方法
マイナポータル
マイナポータルでの登録を行うためには、マイナンバーカードを発行している必要があります。マイナポータルにログイン後、メニューから「口座情報の登録・変更」をタップすると登録フォームに進むことができます。
マイナポータルでの登録は、3月28日から開始しています。

金融機関
金融機関の窓口での登録は、2023年度下期以降に開始される予定です。登録開始時期が遅いことやマイナポイントのことを考慮すると、マイナポータルから登録しておくことで、より早くメリットを享受することができるでしょう。
公金受取口座の登録が可能な金融機関は、メガバンク、地銀、信用金庫などさまざまです。
また、所得税の確定申告(マイナンバーカード方式)の際にも登録を行うことができます。
公金受取口座の登録情報
公金受取口座に登録される情報などについて、関心がある方も多いと思います。
公金受取口座に関する情報は、公的給付支給等口座登録簿に記録されます。
ここにどのような情報が記録されるかについては、法令(公金受取口座登録法第3条第3項及び同法施行規則第5条)に定められています。
大きく分けて「給付を行う行政機関へ提供される情報」と「口座情報とともに記録される情報」があります。

このように、デジタル庁が管理する公的給付支給等口座登録簿に記録される情報と給付を行う行政機関に提供される情報は異なっており、後者については、給付を行うための最低限の情報に限定されています。
マイナンバーの口座紐づけは怖い?デメリットはあるのか
マイナンバーの口座紐づけは利便性が向上することが考えられますが、一方で「口座紐づけは怖い」と感じる方もいらっしゃいます。
そこで、ここでは口座紐づけのデメリットはあるのか検討してみましょう。
直接的な口座紐づけのデメリットはナシ
一部で、税務署の資産に関する調査や摘発のために、口座情報が使用されるのではないかという懸念の声が聞かれます。
しかし、今のところ税務署は異なる方法で資産隠しなどへの調査を進めており、口座紐づけは直接影響があるとは言い切れません。
また、紐づけした口座から勝手に税金が引かれてしまうこともありません。
詳しくは以下の記事をご覧ください。

マイナンバーの口座紐づけが義務化される?
また、最近の報道では、一定期間内にマイナンバーと口座の紐づけを「拒否」をしなければ「同意」と見なされ、自動的に口座の紐づけが行われる新たな策を政府が検討しているとされています。
しかし、現在のところ、この紐づけについても拒否が可能で、紐づけをした場合でも公金口座の残高までは把握しない方針であるとされており、この策が実現したとしても完全な「義務化」とは言えません。
ヤフーニュース|マイナンバーと銀行口座“ひも付け” 政府が「新たな策」検討…対象は 拒否しないと自動的に…?
マイナンバーの口座紐づけに関しては、平成30年のマイナンバー法改正に伴い義務化の議論が出ていました。
しかし、国民からの疑問や不安の声も多く、令和2年11月27日、当時の平井デジタル改革大臣が義務化をしない方針を明らかにしています。
東京新聞|マイナンバー制度、口座ひも付け義務化見送り 普及進まず政府が決断
今後もマイナンバーの口座紐づけについては「自動化」や「義務化」など、さまざまな方向から検討がなされるでしょう。
給付金に関するマイナンバーカードの活用事例
兵庫県加古川市では、セブン銀行ATMで住民が給付金等の受け取りを安全かつ速やかに行えるための実証を2022年7月頃に行います。
これまでは、住民が本人情報と口座情報および、その証拠書類を郵送で提出し、自治体職員がそれを確認したあとに金融機関に振り込みを依頼し、住民は銀行口座で給付金等を受け取っていました。
今回はマイナンバーカードで本人確認を行った給付対象者がxIDアプリを利用し、銀行口座を保有していなくとも、全国に2万6千台以上あるセブン銀行ATMで現金を受け取ることができます。
給付金等の受け取りにあたっては、セブン・ペイメントサービスが提供する「ATM受取」を活用することで、銀行口座情報を申請・登録する必要はなく、銀行口座をお持ちでない方でも受け取りが可能となります。
PRTIMES|兵庫県加古川市でセブン銀行ATMとマイナンバーカードを活用した給付金等のATM受取システムの構築と実証を実施
まとめ
この記事では、「公金受取口座登録制度」について解説しました。
また、マイナンバーカードを用いた給付金の簡単な受け取りに関する事例を紹介しました。給付金をスムーズかつ正確に受け取りたい方だけでなく、マイナポイント第2弾を活用してマイナポイントを取得したい方は、公金受取口座を登録することをおすすめします。