「マイナンバーカードには危険性がある」と言われています。マイナンバーカードが盗まれたら、その人の全ての個人情報が盗まれてしまう。買い物履歴が居住市町村に知られてしまう。マイナンバーカードと銀行口座を紐づけすることにより、意図しない税金徴収が発生する……。しかし、それらの殆どはあくまでも「風説」。この記事では「マイナンバーカードの危険性」にまつわる噂話を検証していきたいと思います。
SNSで拡散されている「マイナンバーカードの噂」
ネット、特にSNSではマイナンバーカードに関する噂が常に飛び交っています。
その噂の中には、数千ないし数万のシェアを稼いだものもありますが、それは必ずしも信憑性を担保するものではありません。以下、SNSでも広く拡散された噂について、その真相を調べていきましょう。
マイナンバーカードで買い物履歴が役所にバレる
マイナンバーカードと銀行口座の紐付けにより、カード所持者の買い物履歴が国や自治体に知られ、個々に応じた額の税金の徴収や思想調査まで行われる……という風説がネット上で囁かれています。
しかし、これは根拠のない噂に過ぎません。この点については地方自治体も注意喚起しています。
ここでは小金井市の公式サイトから引用します。マイナンバーカードと銀行口座、健康保険証と紐付けすることで発生するマイナポイントに関する説明の一文です。
(マイナポイントとは)マイナンバーカードをお持ちの方が、民間のキャッシュレス決済サービスを利用して、チャージまたは買い物をすることで取得することができるポイントです。ポイントはご自分で選択したキャッシュレス決済サービスのポイントとして、お買い物に利用できます。
また、国が買い物履歴を収集・保有することはできない仕組みになっています。
参考
小金井市|マイナポイント(マイナンバーカードを利用した消費活性化策)について
「マイナポイントをどのような決済に使った」ということも、市役所や行政機関等に知られることはありません。たとえ国や市区町村でも、「買い物履歴を閲覧する」ということは一切できません。
マイナンバーカードと銀行口座を紐づけすることにより、意図しない税金徴収が発生する
マイナンバーカードを銀行口座と紐付けすることにより、いつの間にか税金が徴収されてしまう……という噂もあります。
しかし、この紐づけは「公金受取口座登録制度」に基づく仕組みで、あくまでも公金や助成金を国・自治体から受け取るためのもの。逆に国民から国・自治体へ税金を収めるものではありません。
デジタル庁公式サイトのQ&Aで、詳しく解説されています。
Q1-11 登録した口座から、税金等が引き落とされることはありますか。
A1-11 公金受取口座は、給付金等の受取のための口座として、登録していただくものです。そのため、公金受取口座の登録を行ったことによって、税金等が引き落とされるということはありません。
デジタル庁|よくある質問:公金受取口座登録制度について(総論)
マイナンバーカードを紛失したら個人情報が他人に知られてしまう
マイナンバーカードを紛失もしくは盗まれてしまった場合、そこから紐付けの銀行口座を含めた全ての個人情報が漏洩する……ということも、SNSではよく言われています。
しかしこれも、根拠のない噂に過ぎません。マイナンバーカードのICチップそのものには重要な情報は記録されておらず、仮に他人のカードをオンラインで利用しようとしても、必ず暗証番号を入力しなければなりません。
総務省の公式サイトに、詳しい説明が記載されています。
マイナンバーの利用範囲や、収集・保管などは法令で厳しく制限されています。さらに、マイナンバーを利用する手続では顔写真付きの本人確認書類が必要になりますので、マイナンバーだけで悪用できない仕組みになっています。
総務省|マイナポイントの仕組みとマイナンバーカードのセキュリティ対策
また、このサイトでは「マイナンバーは国があらゆる情報を一元管理するものではない」ということも、図解付きで解説されています。
マイナンバーカードの危険性に関する噂には注意
以上の風説は、いずれも省庁や全国自治体が公式サイトで否定しているものばかりです。
特に「紐付けの銀行口座から税金が徴収される」「カードのICチップに重要な情報が記録されている」という誤解は今でもSNSで真実のように拡散されていますが、それらの噂を裏付ける根拠は皆無。
それでも不安に感じたら、まずは公的機関のサイトをチェックしてみましょう。