引越しワンストップサービスが、俄かに話題になっています。この引越しワンストップサービスは、マイナンバーカード・マイナポータルの活用により転出届をオンライン化し、なおかつ転入を効率化する行政サービス。何かと面倒な引越しにかかる行政手続きを大幅にショートカットする目的で導入されました。この記事では引越しワンストップサービスの概要を解説していきます。
こんな方におすすめ
- 引越しワンストップサービスについて知りたい方
この記事でわかること
- 引越しワンストップサービスを使うメリット
- 引越しワンストップサービスを使う手順
引越しワンストップサービスとは?
引越しとは、単に家を移すのみに留まりません。転出・転入届の他、国民健康保険等の住所変更の手続きも行います。
これを極力一括で手続きができれば、引越しにかかる作業も少なくなるはず。さらに、民間企業とも連携して電気・ガス等のライフラインの住所変更も実施できるよう、現在仕組みが構築されています。
言い換えれば引越しワンストップサービスは今も「一部工事中」のシステムではありますが、それでも行政機関では「転出届のオンライン化」と「転入届の申込予約」が実現しています。
参考
デジタル庁|マイナポータルを通じたオンラインによる転出届・来庁予定の連絡の手続方法
みんなのデジタル社会では実際に引越しワンストップサービスを利用したレポート記事も公開しておりますので、下記も合わせてご覧ください。
従来の引越しの手順
従来の引越しでは「いつ転出届を自治体窓口に出すのか」がちょっとした悩みになりがちでした。
同じ市区町村内であればともかく、遠方への引越しの場合は「元の自治体と引越し先の自治体の両方に赴かなければならない」ということがちょっとした障壁に。また、住所変更に伴う国民健康保険の手続きなども別途行わなければなりません。
引越しワンストップを利用したら
しかし、仮に引越し前の居住自治体窓口(転出届の提出先の自治体窓口)へ足を運ぶ必要がなくなったとしたらどうでしょうか。
去年2月6日から、全国全ての自治体で転出届のオンライン化と転入予約がマイナポータルで実施できるようになりました。これにより、マイナンバーカードがあれば引越し前の居住自治体の窓口へ赴く必要はなくなりました。
その上で、引越しワンストップサービスは2023年7月13日よりスマホ用電子証明書搭載サービスに対応。これにより、対応端末があればマイナンバーカードが手元になくてもサービスを利用できるようになりました(マイナンバーカードの作成は必要)。
転入手続きは来庁が必要
その上で、引越し先の自治体へ即座に転入届を提出できるよう情報共有できる仕組みも整備されています。それと同時に、転入者の来庁予定を知らせることにより特定の日時にすぐさま書類を作成できるようになりました。
ただし、これは「転入届を完全オンラインで提出できる」という意味ではありません。転入届は、必ず申請者が来庁する必要があります。
マイナポータル等を通じたオンラインによる転出届・転入(転居)予約の実現に向けた取り組みについて-デジタル庁
参考
デジタル庁|マイナポータル等を通じたオンラインによる転出届・転入(転居)予約の実現に向けた取り組みについて
ライフラインの住所変更も!
さらに、今後は民間企業のプラットフォームとマイナポータルが連携し、電気やガスといったライフラインの住所変更にも対応する予定です。
これは関係各社が順次対応している状況で、自治体によっては非対応、または段階的な実証実験が進められている最中です。一例を挙げれば、xIDが香川県で官民共創引越し手続きワンストップサービスを去年12月から行っています。
参考
デジタル庁|引越し手続オンラインサービス
xID|「xID」の本人確認を使用した官民共創引越し手続きワンストップサービスの実証実験が香川県域で開始-PR TIMES
引越しワンストップサービスにおける懸念点
これらの取り組みの懸念点を挙げるとするなら、マイナンバーカードの読み取りに対応しているPC・スマホを持っていない人はサービスを利用しづらいという点です。
残念ながら、マイナンバーカードを読み取ることができるデジタル機器がない人はどのようにすればいいのかという部分は未だ決定的な答えが出されていない模様。現在でも低価格帯のスマホは、ICチップの非接触型認識に対応していないことがよくあります。
そうした課題はありますが、官民が連携した引越しワンストップサービスは日々少しずつ構築されています。
マイナンバーカードを用いることで、煩雑な手続きをショートカットできる近未来。それがいよいよ現実のものになりつつあります。春の新生活を迎える高卒生や大卒生は、引越しワンストップサービスの仕組みを一度チェックしておくべきではないでしょうか。