マイナンバーは、日本に住民票を持つすべての人に割り振られており、税・社会保障・災害対策の分野に限って活用されています。マイナンバー制度によって、効率的に情報を管理し、複数の機関が保有する個人の情報が同一人物の情報であることを確認することができ、これにより、国民の利便性の向上、行政の効率化及び公平・公正な社会の実現に資すると説明されています。他方で、マイナンバーは「他人に教えてはならないもの」、「マイナンバーカードに書いてあるけど隠さなければならないもの」という認識が広がっています。この記事では、実際にマイナンバーが他人に知られてしまったらどうなってしまうのかについて解説します。
こんな方におすすめ
- マイナンバー制度に不安を持つ人
- マイナンバー制度についてもっと知りたい人
この記事でわかること
- マイナンバーを他人に知られた場合に起こりうること
マイナンバー制度の概要
マイナンバーとは、国民の利便性の向上、行政の効率化及び公平・公正な社会を実現するために、社会保障制度、税制、災害対策などの法律などで定められた行政手続で利用することが可能な、住民票を有する全ての方が持つ1人にひとつの12桁の番号です。2015年10月以降に住民票を有する方には、国籍を問わず、12桁のマイナンバーが付番されています。
なお、マイナンバーとマイナンバーカードは別物です。マイナンバーカードとは、マイナンバーが記載されたICチップ付きのカードのことです。マイナンバーカードにはマイナンバーだけでなく、本人の顔写真や氏名、生年月日、性別などが記載されています。

行政がマイナンバーを利用することができる事務は、法令又は条例で定められた社会保障制度、税制、災害対策などの事務に限定されています。

他方で、2023年6月にマイナンバー法が改正され、社会保障制度、税制及び災害対策以外の事務においてもマイナンバーの利用が可能となりました。(※)なお、他の分野に利用を拡大する場合には、その都度法律の改正が必要です。現時点では、国家資格や自動車登録、在留資格に関する事務においてマイナンバーの利用を可能にすることが見込まれています。
参考
デジタル庁「よくある質問:マイナンバー制度について(総論)Q1-2 マイナンバー制度導入前後では何が変わったのですか。」
他人にマイナンバーを教えたらどうなるか

以上のように、マイナンバーを活用する場面は今後も広がっていくことが想定されます。ここで、マイナンバーを他人に知られてしまうことへの不安を抱く方も少なくないと思います。
この点について、デジタル庁は「マイナンバーが他人に見られたり漏れたりしたとしても、マイナンバーだけで手続はできないため、情報を引き出したり、直ちに悪用したりすることはできません」という見解を示しています。(※)
この説明をする際に、度々銀行口座番号が例に出されています。銀行口座番号を知っただけではお金を引き出すことができないため、銀行口座番号を他人に知られても悪用されないという銀行口座番号の仕組みとマイナンバーの仕組みが同様のものであるということです。
以前、国はマイナンバーカードを取得した際に、マイナンバーが見えないようなデザインになっているケースを配布していました。しかし、マイナンバーを知られただけでは悪用されず、マイナンバーに関する正しい理解を促すという目的で、2022年に廃止されています。
参考
・デジタル庁「よくある質問:マイナンバー制度について(総論)Q1-7 マイナンバーは誰にでも提供してもいいのですか。」より
・読売新聞|マイナカードの番号隠すケース、配布廃止を検討…番号知られただけでは悪用されないから
一方で、デジタル庁は「個人のブログやSNSなどでご自身のマイナンバーを公表するといったことは第三者へのマイナンバーの『提供』にあたる恐れがあり、法律違反になる可能性もありますので、控えるようお願いします」、「マイナンバーを第三者へむやみに提供することは控えてください」ともアナウンスをしています。マイナンバーを知られても悪用をされないが、積極的に周知させる必要もないということです。
まとめ
以上のように、マイナンバーを他人に知られてしまったとしても、それだけで直ちに悪用されてしまうということはありません。銀行口座番号と同じで、マイナンバーを知られても悪用をされることはないですが、積極的に周知させる必要もないという仕組みになっています。
マイナンバー法の改正などによって、マイナンバーの利用を今後も拡大していく方針が政府より示されています。このような利用拡大のタイミングで、正しい知識で不安を解消し、適切に利用する必要があると思われます。