石川県加賀市は6月1日、スマートシティ推進の取組が評価され、総務大臣表彰を受賞しました。この記事では、加賀市が受賞に至った理由や、これまで、そしてこれからのスマートシティに関する取組について解説します。
この記事で分かること
✓総務大臣表彰とは
✓マイナンバーカード交付率全国1位を獲得した施策
✓デジタル先進事例のこれから
こんな方にオススメ
✓自治体の先進事例を知りたい方
✓マイナンバーカードの利活用事例について知りたい方
加賀市が「総務大臣表彰」を受賞
総務省と情報通信月間推進協議会は、毎年5月15日から6月15日の1ヶ月間を「情報通信月間」と定めており、豊かな生活を実現する情報通信について広く国民に理解と協力を求めることを目指しています。
例年 6 月1日に開催される記念中央式典では、総務大臣表彰も含めた表彰が行われていますが、昨年度同様に今年度も新型コロナウイルスの感染拡大防止のために中止。それでも表彰自体は行われ、令和3年度は個人 3 件、団体 3 件が受賞しました。このうち、地方自治体は加賀市と高松市のみとなっています。
加賀市が受賞した理由
今回の加賀市の表彰は、同市のマイナンバーカードを活用したデジタル行政サービスの実現など、これまでの取り組みが認められた形です。表彰功績としては以下のように記されています。
なお、昭和 60 年(1985 年)に始まり、今年で 37 回目となる情報通信月間の大臣表彰において、北陸3県の自治体では25年ぶり2件目の表彰となっています。
このように、マイナンバーカードを活用した行政手続きの電子化に関する取り組みが高く評価された加賀市。では加賀市はこれまで具体的にどのような取組みを進めてきたのでしょうか?
加賀市の取組
マイナンバーカードの普及施策:交付率全国区市No.1

加賀市は、スマートシティにおけるデータ連携のカギとも言える、マイナンバーカードの普及施策に注力しています。マイナンバーカードの交付率が2021年5月1日時点で65.1%(総務省発表)となっており、全国の区市中1位です。

電子申請:139申請が電子化済み
加賀市は令和2年度末時点で139申請を電子化。公的個人認証を用いたデジタルIDソリューションであるxIDを活用して、スマートフォンからも電子申請ができるようになりました。
加賀市における行政手続きの電子化については過去にみんデジで詳しく解説しており、電子申請プロジェクトの報告資料をダウンロードすることも可能です。

電子投票:ブロックチェーンとデジタルIDを活用した実証実験を実施予定

加賀市は電子投票にも挑戦予定。ブロックチェーンとデジタルIDを活用した安全かつ利便性が高い電子投票システムを構築するべく、取り組みを進めています。パートナーとしてはxIDに加えて、経済活動のデジタル化を推進するスタートアップのLayerXも参加。
同社のブロックチェーンの社会実装に係る次世代のプライバシー保護技術である「Anonify」と、投票者の本人性を担保するxIDによって、「秘密投票の原則」及び「一人一票の原則」を担保しています。
今後は民意の反映や、市政の透明性の担保を目的として、加賀市の施策に関する電子投票の実現可能性を検討する方針です。
e-Residency:日本初の電子市民制度の提供へ

2021年5月に発表された最新施策が、加賀版e-Residencyであるe-加賀市民制度。
市民に提供している官民サービスを拡張し、新たに“電子市民(e-加賀市民)”にも開放する、という施策です。令和3年度中の提供が予定されており、リモートワーカーやノマドワーカーからの期待が高まっています。
スマホ教室の開催:デジタル活用支援員実証事業に採択
加賀市では令和2年度から「誰一人取り残さないデジタル社会」の実現のために、高齢者を対象としたスマホ教室を開催しています。昨年度はデジタル活用支援員推進事業地域実証事業に採択され、合計4回のスマホ教室を開催しました。参加者の多くは高齢者で、スマホの基本的な操作方法から、スマホを用いた電子申請のやり方まで、様々なレクチャーを受けてきました。
令和3年度には、65歳以上の高齢者を対象とした、継続的なスマホ教室の開催や、マイナンバーカードに対応するスマホの購入助成を、市内キャリアショップなどと連携し実施する予定だそう。デジタルデバイドの解消に向けた動きが期待されます。
今後に向けて
マイナンバーカードを活用したデジタルID基盤であるxIDを軸に、電子申請を始めとする様々な行政サービスを提供している加賀市。今後の取り組みにもご注目ください。
総務大臣表彰の内容に関して、詳細は加賀市のプレスリリースをご確認いただけます。


