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マイナンバーカードを取り扱う事業者必見!! 番号法の全容と注意点

番号法とは、国民や法人に個人番号、法人番号の割り当てや運用のルールなどを規定した日本の法律のことです。

「マイナンバー法」とも称される番号法は、正式には「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」と言い、個人番号を提示する際の取り決めなどが細かく定められています。今回の記事では、番号法の基礎知識として、制定の経緯や定められている内容についてい詳しく解説していきます。

こんな人におススメ
✓ マイナンバーカードを扱う事業を行う方
✓ マイナンバーカードに関する法律知識を深めたい方
✓ マイナンバーカードの取扱いに不安がある方

この記事でわかること
✓ 番号法の全容や注意点
✓ マイナンバーカードの管理方法

目次

番号法とマイナンバーカードに関連した法案の変遷

番号法は「平成22年度税制改正大綱」にてはじめて番号制度に触れられたことからはじまります。その後、2012年に一度廃案となりましたが、2013年5月9日には衆議院本会議で、同年5月24日には参議院本会議でマイナンバーに関する4法案が可決され、2013年5月31日にそれぞれ公布されました。

マイナンバー関連4法案は具体的に以下の通りで、このうち『行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律』が番号法と呼ばれています。

Reference
マイナンバー法成立までの経緯

番号法の規定により、2015年10月から住民票を有する全住民にマイナンバー通知カードが郵送され、2016年からは市区町村の窓口にてマイナンバーカードの発行が可能になります。さらに、2017年からはマイナポータル子育てサービスに関する電子申請の受付が開始されるなど、マイナンバーを利用したサービスが徐々に動き出します。

また、2020年5月25日には番号法の改正により、通知カードの発行、再発行が廃止されます。

Reference
通知カード
マイナンバー制度導入後のロードマップ(案)

マイナンバーカードを利用した税金の申告も利便性の向上が図られています。国税庁ではマイナンバーカードに搭載された電子証明書などを活用し、納税者がe-Taxで簡単に申告ができるようにシステム改修を実施しています。その結果、マイナンバーカードを持っていれば、e-Taxの開始届出やパスワード管理などが不要になりました。

あわせて、税制改正により、マイナンバーカードを利用したe-Taxによる申告をすると税制上のメリットが得られるようになっています。

マイナンバーカードを利用したサービスについて詳しく知りたい方は、正しく知りたい マイナンバーカードでできること/できないことをご覧ください

Reference
e-Tax利用の簡便化の概要について
令和2年分の所得税確定申告から青色申告特別控除額基礎控除額が変わります!!

番号法で定められた収集・利用に関する規程

番号法では、第19条各号に明記された場合にのみ、事業者がマイナンバー情報を収集することを認めています。

具体的には、以下のようなケースでマイナンバーなどの個人情報を収集することができます。

  • 個人番号利用事務実施者からの提供(第1号)
  • 個人番号関係事務実施者からの提供(第2号)
  • 本人又は代理人からの提供(第3号)
  • 委託、合併に伴う提供(第5号)
  • 情報提供ネットワークシステムを通じた提供(第7号及び第8号)
  • 個人情報保護委員会からの提供の求め(第12号)
  • 各議院審査等その他公益上の必要があるときの提供(第14号)
  • 人の生命、身体又は財産の保護のための提供(第15号)

ここで言う「個人番号利用事務実施者」とは、国の行政機関や地方公共団体、独立行政法人などのことです。 

また、「個人番号関係事務実施者」とは、法令や条例に基づき上記の機関にマイナンバーが書かれた書類を提出する者のことです

税務に関しては、国税庁長官(税務署)や都道府県知事・市区町村長(税務担当)が「個人番号利用事務実施者」となり、これらの機関にマイナンバーを記載した源泉徴収票や支払調書などを提出する民間の事業者などが「個人番号関係事務実施者」になります。

このように、番号法では、マイナンバーを利用する主体や目的が限定されています。

Reference
(1)総論 Q1-11

番号法で定められるマイナンバーの「適切な管理」とは

事業者が個人のマイナンバーを管理する場合は、番号法を基礎に、個人情報保護委員会による『特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)』や国税庁の『国税分野における番号法 基づく本人確認方法(事業者編)』などに実際の運用面での指針が示されています。

Reference
特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)
国税分野における番号法に基づく本人確認方

収集時の本人確認方法

事業者が顧客などから対面により個人番号の提供を受ける際は、マイナンバーカードの裏面に記載されている個人番号で番号確認、表面に記載されている氏名や住所、生年月日、顔写真で身元確認をすることができます。

本人確認の方法はその他にも、通知カードと運転免許証などの写真表示のある書類を同時に提示してもらい、本人の情報を確認する方法などもあります。詳しい具体例は『国税分野における番号法 基づく本人確認方法(事業者編)』の27p以降に記載されていますので、マイナンバーカードの確認に迷っている事業者は一度確認してみましょう。

【参考】
事業者側は、法令で定められた税・社会保障・災害対策の手続き以外の場面でマイナンバーカード裏面の情報をコピーすることは禁止されています

必要な安全管理措置

顧客などから収集したマイナンバーは情報漏洩を防止するため、以下の6つの観点から必要な安全管理措置を講じる必要があるとされています。

A 基本方針の策定組織内でのマイナンバーに関する理念の策定、共有など
B 取扱規程等の策定 マイナンバー運用のマニュアルの整備など
C 組織的安全管理措置 運用に関する責任者や担当者の決定など
D 人的安全管理措置 マイナンバー担当者の教育体制など
E 物理的安全管理措置間仕切りなどによる保管場所の限定など
F 技術的安全管理措置アクセス制御やウイルス対策ソフトの導入など

このように、社内でマイナンバーを取り扱うにはマイナンバーに関する理念や取扱規程などの整備と、組織・人材・物理・技術面での具体的な安全管理措置が求められます。より詳細な内容については、『特定個人情報に関する安全管理措置(事業者編)』の50p以降を確認してください。

事業者の監督責任

『特定個人情報に関する安全管理措置(事業者編)』の18pには、

「委託先において、番号法に基づき委託者自らが果たすべき安全管理措置と同等の措置が講じられるよう必要かつ適切な監督を行わなければならない」

と記載されており、マイナンバー事務を委託する事業者は委託先に対して監督責任を負うことが明記されています。なお、「適切な監督」とは以下のような監督を指します。

  • 委託先の適切な選定
  • 委託先に安全管理措置を遵守させるために必要な契約の締結
  • 委託先における特定個人情報の取扱状況の把握

特に委託先との契約の締結については、

「契約内容として、秘密保持義務、事業所内からの特定個人情報の持出しの禁止、特定個人情報の目的外利用の禁止、再委託における条件、漏えい事案等が発生した場合の委託先の責任、委託契約終了後の特定個人情報の返却又は廃棄、従業者に対する監督・教育、契約内容の遵守状況について報告を求める規定等を盛り込まなければならない」

と具体的な契約内容が明記されています。これらの内容を契約書に盛り込むことが求められます。

番号法を知って正しくマイナンバーを理解しよう

番号法や番号法に関連したマニュアルには、具体的なマイナンバーの管理・運用の考え方や注意点が記載されています。マイナンバーは重要な個人情報であるため、これらの内容を理解し、遵守する組織体制を構築することが求められています。

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