「偽造マイナンバーカードが日本国内に流通している」という報道がSNSで拡散され、大きな話題になりました。外国人犯罪集団がマイナンバーカードを偽造し、それを日本国内で使用するということは実際に起きています。しかし、我々はそれに対して過度に反応する必要はありません。偽造マイナンバーカードは、今後流通する余地がなくなると見られています。この記事では偽造マイナンバーカードと「本物のマイナンバーカードの安全性」について解説していきます。
マイナンバーカードが偽造されている!?
マイナンバーカードを偽造するのは容易で、既に万単位の偽造カードが出回っている……という衝撃的な報道がありました。
実は偽造マイナンバーカードの存在は、デジタル庁も確認しています。後述の説明や参考URLにもある通り、河野太郎デジタル大臣は去年12月に入管法違反で検挙された外国人から「偽造されたマイナンバーカードのようなもの」に関する説明を記者会見で行っています。
河野太郎デジタル大臣の発表
以下、2023年12月5日の記者会見での河野大臣の発言を抜粋します。
12月4日(月)に検挙されました中国人らによる組織的な入管法違反事件において、マイナンバーカードのようなものが押収されておりますので、お知らせいたします。
この件は警視庁で現在捜査をしておりますが、偽造されたマイナンバーカードのようなものは9枚、いずれも外国人名義でもちろん正規なものとは全く違います。いろいろなところで販売もされている白いプラスチックカードにICチップがついたものにマイナンバーカードの券面のような内容を印字するという単純なものです。
「白いプラスチックカード」とはあくまでも市販品で、その上にマイナンバーカードを模した印刷を施しているというのが偽造カードの実態のようです。
河野大臣の公式サイトにも
この事件に関して、河野大臣の公式サイトにもこのようなブログが掲載されています。
12月4日に、中国人などによる組織的な入管法違反事件に関して捜査が行われた際、さまざまな種類の偽造カードが押収され、そのなかにマイナンバーカードのようなものが9枚含まれていました。
この9枚は、アマゾンなどでも販売されているICチップ付きの白地のカードにマイナンバーカードの券面を模したものをプリントしたもので、ICチップにはなにも入っていません。
9枚とも外国人名義のもので、判明しているものについては、記載されている住所なども正しいものではありません。
つまり、本物のマイナンバーカードには必ず内蔵されているはずのICチップはないか、あっても本物とは全く違う代物だったという内容です。
ポイントは「ICチップ」と「パールインキ」
本物のマイナンバーカードには、複数の偽造防止技術が盛り込まれています。今回はそのうちの2つ「ICチップ」と「パールインキ」に焦点を当てて解説します。
ICチップ
上記の記者会見の質疑応答で、このような質問がありました。
(問)マイナカードの偽造の件なのですけれども、単なる券面のコピーでICチップはかざしたとしても利用ができないようなものだったという認識でよろしいでしょうか。
それに対して河野大臣は、
(答)そのとおりです。ICチップに何か情報が入っているということではないと聞いてます。
と、答えています。
つまりICチップを精巧に偽造された形跡はなく、現時点においても「本物と同等の機能を持つ偽造ICチップが確認された」という発表はデジタル庁からはありません。
パールインキ
次に、これもまた犯罪集団が模倣できていない「パールインキ」について解説します。
これについても河野大臣は、以下のように述べています。
マイナンバーカードにはさまざまな偽造防止対策が取られています。
一つには、カードの右上にマイナちゃんが印刷されていますが、このマイナちゃんはパールインキという特殊なもので印刷されており、見る角度で色が変わります。
あなたのマイナンバーカードで試してみてください。
マイナンバーカードで本人確認の作業をする際は、このマイナちゃんでカードが偽造でないことを確かめてください。
この「右上のマイナちゃん」は、角度を変えると薄いピンク色や薄緑色に変化します。本物のマイナンバーカードであれば誰のカードでもこのような印刷が施されていますが、一方で偽造カードを流通させる犯罪集団は今でもパールインキの完全再現はできていないようです。
偽造カードを駆逐する方法
今現在流通している偽造マイナンバーカードは、あくまでも「マイナンバーカードを目視で確認する場合」の隙を突くもの。まだ日本人が見慣れていないカードのため、粗雑な偽造カードでも騙せる可能性があるということに過ぎません。
目視でもカードの真贋を見分ける方法、そしてカードの確認に極力ICチップ認証を用いた場合、表面を模造印刷しただけの偽造カードはすぐに一掃されるでしょう。また、マイナンバーカードのICチップやパールインキを偽造することは極めて困難で、「本物と見分けのつかないほど精巧な偽造カードが大量に出回る」という事態は現実的ではありません。
マイナンバーカードにはこうした偽造防止技術が盛り込まれているため、従来型の健康保険証や運転免許証よりも安全性が高いと言えます。