みなさんは、2022年度にマイナンバーカードがスマホに搭載される予定であることを知っていますか?総務省は、このテーマに関する検討会を発足し、スマホ搭載に向けた議論を行ってきました。そして、すでにこれを実現するための法律が制定されています。この記事では、スマホ搭載で何ができるようになるのか、そしてスマホ搭載に向けてどのような議論が行われてきたのかについて解説します。
こんな人におすすめ
- マイナンバーカードのスマホ搭載について知りたい方
- マイナンバーカードに関する国の政策について知りたい方
この記事でわかること
- マイナンバーカードのスマホ搭載でできること
- マイナンバーカードのスマホ搭載に向けた議論の内容
スマホ搭載でできること
マイナンバーカードのスマホ搭載で何が便利になるのか・何ができるようになるのか、ということが気になると思います。

マイナンバーカードのスマホ搭載は、マイナンバーカードに内蔵されている電子証明書が、スマホに搭載されることを意味します。つまり、スマホ搭載によって、オンライン上で公的な本人確認を行うことができるようになります。
現状では、マイナンバーカードを使った電子署名やマイナポータルでの行政手続きをする際には、スマホやパソコンでマイナンバーカードの電子証明書を、その都度読み込む必要があります。スマホ搭載が実現することで、毎回カードをかざすことなく、マイナポータルへのログイン等における本人認証のみならず、 様々なオンライン申請もスマホのみで手続きを行うことが可能になり、利用者の利便性が向上します。
また、スマホ搭載に際して、検討会では「マイナポータルの機能拡充や各種国家資格等のデジタル化など、マイナンバーカードの利用シーン拡大に 向けた取組や民間における利用ニーズにも対応できるようにする」ことも議論されています。マイナンバーカードのスマホ搭載により、国家資格をスマホで証明できることや民間サービスとの連携も予定されており、オンライン上の様々なシーンで公的な本人確認を行うことができるようになります。
民間サービスとの連携は、銀行・証券口座の開設、住宅ローン契約などが考えられているようです。従来であれば、口座開設やローン契約をする場合、本人確認の重要性から対面や郵送でのやりとりが発生していました。しかし、スマホ搭載によって、オンライン上で公的な本人確認を行うことができるようになるため、このような民間サービスにも活用が期待されています。


スマホ搭載の動向
マイナンバーカードのスマホ搭載は、大まかに次のような流れで実現します。それぞれの場面でどのようなことが行われてきたのか、簡単に説明します。
- 検討会
- 法律の制定
- 技術開発
- 利用開始
検討会の議論
総務省は、2020年11月に「マイナンバーカードの機能のスマートフォン搭載等に関する検討会」を発足しました。検討会には、国・地方自治体・研究者・民間企業などが参加し、制度設計や技術的な論点まで、さまざまな視点から議論が行われています。
検討会の目的は、「デジタル社会に不可欠なマイナンバーカードの利便性向上に向けて、マイナンバーカードの機能のスマートフォン搭載等について検討」することです。
2021年6月時点で、6回の検討会が開催されており、2020年12月には、「第1次とりまとめ ~電子証明書のスマートフォン搭載の実現に向けて~」が公表されています。この中で、「カード機能のスマホへの搭載」の基本方針として、次のようなことが掲げられています。

この検討会で行われた議論は、法律を制定する際に大きく貢献します。
参考
総務省|マイナンバーカードの機能のスマートフォン搭載等に関する検討会
法律の制定
2021年の通常国会では、「デジタル社会形成基本法」や「デジタル庁設置法」などが制定されました。そして、マイナンバーカードのスマホ搭載を実現する法律も制定されました。
少し詳しく説明すると、「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」が制定されたことにより、「公的個人認証法」が改正されました。スマホ搭載に係る改正は、2023年5月までの間に施行される予定です。
この法律が制定されたことによって、マイナンバーカード保有者が電子証明書をスマホ(移動端末設備)に搭載することが法的に可能となります。

このように、スマホ搭載を実現するための法律上の整備は整いました。ここからは、ユーザー(国民)にサービスを提供開始するまでの準備が必要になります。
スケジュール
スマホ搭載に向けたスケジュールは、次のように示されています。

このうち、「検討会の開催」と「公的個人認証法の改正」は、すでに行われています。
スケジュール通りに進めば、今年度(2021年度)に実証実験が行われ、2022年度にはAndroid端末への搭載が予定されています。iPhoneについては、早期実現を目指すとされていますが、今年9月にデジタル庁が発足される予定なので、スマホ搭載に向けた動きは加速することが考えられます。
まとめ
行政手続きのオンライン化が急速に進んでいることからも、数年後、マイナンバーカードをスマホに搭載することは一般的になっていることが予想されます。検討会をはじめとした国の議論は重要なテーマであると言えるでしょう。