マイナンバーカードに他人の情報が紐付いていた、ということが全国各地で発生しました。この騒動に対して、政府はどのように対処しているのでしょうか? 本記事では、「他人の銀行口座との紐付け」はなぜ発生したのか、なぜ防止できなかったのか、どのように問題の解消が行われているのかを解説します。
マイナンバーカード誤登録騒動の経緯
まずは、なぜマイナンバーカードの誤登録が発生したのか振り返っていきます。
支援員によるヒューマンエラーが主な原因
マイナンバーカードと銀行口座を紐付ける作業は自分の手で実施することもできますが、PCやスマートフォンの操作が苦手な人は自治体窓口等で支援員にその作業をやってもらうことができます。
この支援員による入力作業で、他人の銀行口座を登録してしまう出来事が全国で複数件起きてしまいました。この問題に対する見解が、デジタル庁の公式サイトに記載されています。
その内容を要約すると、直前に登録作業をした人がマイナポータルからのログアウトを忘れてしまい、次の人がそのまま情報を入力してしまったということです。そうしたことが全国規模で相次いで発生しました。
しかし、この誤登録に起因した公金の誤入金は現時点ではか確認されていないそうです。同時に、各自治体で登録口座の訂正作業が進められています。
参考
デジタル庁|マイナンバーカード関連サービスの誤登録等の事案に関するご質問・ご不安にお答えします
家族の銀行口座を入力してしまった
また、誤入力ではないものの、自分以外の家族の銀行口座の情報を入力してしまったという例も相次ぎました。
この問題に関する見解も、デジタル庁が公表しています。それによると、自治体等による公金給付は給付対象者本人に行うため、本人名義の口座を登録するようお願いしているとのこと。
たとえ家族であっても本人でない名義の口座を登録してしまった場合、改めて本人の口座を確認しなければならない手間が発生する場合もあります。
マイナンバーカードの氏名と銀行口座の片仮名表記を照合できなかった
では、マイナンバーカードの名義と銀行口座の名義を照合し、その相違を検出できなかったのでしょうか?
現状、マイナンバーカードに記載の氏名にはふりがながありません。しかし一方で、銀行口座の名義はカタカナ表記。「佐藤一郎」と「サトウ イチロウ」が同一人物であると検出する機能がない、ということです。それは同時に、「佐藤一郎」と「サトウ ジロウ」が別人であることを自動的に判断できないという意味でもあります。
参考
NHK|マイナンバー 家族の口座なぜ登録可能? 照合できない仕組みとは
マイナンバーカード誤登録への対策は進んでいるのか?
上に挙げた問題に対する対策は進んでいるのでしょうか。 以下、本人名義でない銀行口座の誤登録問題はどのように解消されつつあるのかを解説します。
「マイナンバー総点検」を開始
現在、デジタル庁はマイナンバー及びマイナンバーカードと銀行口座を含む本人の情報が正確に紐付けられているかを確認する「総点検」を進めています。
これは2023年11月末までを目途にした作業で、既に紐付け確認が必要な自治体は全国で400から500にのぼるようです。これらの自治体には、点検に必要なマニュアルを配布しています。
参考
NHK|マイナンバー総点検 ひも付け確認が必要な自治体 400~500程度
本人名義の口座を登録していない可能性のある人へ、確認書類を郵送
その上で、公金受取口座に本人名義の口座を登録していない可能性がある人に通知を郵送する等の対応も実施しています。現在の公金受取口座の変更を促す内容の手紙が、デジタル庁から送られます。
ただし、この対応を装った特殊詐欺の発生も考えられるため、デジタル庁は注意喚起もしています。いかなる名目であっても、デジタル庁は金銭の振り込みを要求することはありません。