会社は従業員やアルバイトなど、雇用している人のマイナンバーを収集し、税金や社会保険などの手続きにおいて利用していますが、雇用関係にない人のマイナンバーが必要になることもあります。この記事では、雇用していない人のマイナンバーが必要になるのはどのようなケースか、また雇用している人の場合とは何が違うのかについて解説します。
こんな方におすすめ
✓会社内の労務・総務・経理担当者の方
✓マイナンバーの担当者の方
この記事でわかること
✓従業員・アルバイト以外でマイナンバーの収集が必要になるケースについて
✓雇用していない人だからこそ注意しなければならない点について
従業員以外のマイナンバーが必要になるケースがある
会社は社員やアルバイトなど雇用主として雇用している人のマイナンバーを収集し、税金や社会保障などの手続きに利用しています。それと同じように「雇用していない人」のマイナンバーが必要になるケースがあります。
雇用関係にない人でもマイナンバーの収集が必要になる場合がある
雇用関係にない人でも会社がマイナンバーを収集しなければならないケースとは、下記の支払調書を作成する場合です。
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
- 不動産の使用料等の支払調書
- 不動産等の譲受けの対価の支払調書
- 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
支払調書とは法定調書の一種で、個人や法人に対して「この1年間でそれだけお金を支払ったのか」を税務署へ申告するための書類です。会社は法人や個人ごとの1月1日~12月31日までの支払額を算出し、翌年1月31日までに税務署への提出が義務付けられています。

上記図の中で、支払調書は「税の申告」に分類されます。税務署にとって支払調書とは、納税者(この場合、支払調書の対象者)がどの会社からいくらお金を受け取ったのかを把握するためのものです。
この支払調書にはマイナンバーを記載する欄が設けられています。そのため会社は上記支払調書の該当者となった者のマイナンバーを収集する必要があるのです。
考えられる対象者で多い職業の人
対象となる支払調書は、報酬・料金・契約金・賞金の支払い、また不動産の使用及び売買に関する支払いを行った際に作成されるものです。例えば、会社が誰かに賞金を支払った場合が該当します。
一般的な会社では、これらの方に支払を行った際に該当するケースが多くみられます。
- 士業(税理士、会計士、社労士、弁護士など)
- イラストレーター、カメラマン、作家、画家、講演の講師
- タレント(YouTuber、TikToker含む)
- 不動産の大家
上記以外にも、プロ野球選手や馬主、ホステスなどが該当します。また、上記に該当していても金額が少額な場合は支払調書の提出義務がないケースもあります。支払調書作成の際には、提出義務の要件を確認の上対応するようにしましょう。詳細は下記国税庁のホームページにて確認が可能です。
従業員以外のマイナンバー回収方法
雇用している者以外のマイナンバーを回収する方法は、基本的に従業員やアルバイトのときと変わりありません。
回収方法
回収方法には下記のような方法があります。このうちどれを選んでもよく、選択は会社側に一任されています。
1.直接会う機会がある場合はその場で記入してもらう
2.マイナンバー回収用のシステムを利用する
3.郵送でやり取りする
4.メールでやり取りする
5.専門の外部業者に委託する
注意点

基本的な注意点は従業員やアルバイトのマイナンバーを収集するときと同じです。目的外の利用はできず、また必要がなくなれば破棄する必要があります。
会社が行うべき基本的な注意点はこちらの記事を参照してください。
雇用していない人だからこそ注意すべき点
支払調書の対象となる作家や画家、タレントは会社とは直接的な雇用関係にはない人です。そのため対象者からすると、雇用されている従業員に比べどうしても会社への信用度は低くなってしまいます。「この会社にマイナンバーを提供して大丈夫だろうか?」「悪用されるのでは?」と不安を感じる人もいるでしょう。
そこをカバーするため、会社は「個人番号利用目的通知書」を該当者に提供する必要があります。マイナンバーを何に使うのか、相手にわかるよう明確に提示しましょう。
個人番号利用目的通知書:マイナンバーの利用目的を通知するもの

会社は上記職務の範囲内でしかマイナンバーを利用することができません。個人番号利用目的通知書を配布し「この業務にしか使用しません」ということを理解してもらい、安心してマイナンバーを提出してもらえるよう心掛けましょう。