政府は、2020年に新たなデジタルガバメント実行計画を策定しました。この計画では、どのようなことが実現されようとしているのでしょうか。この記事では、政府が目指す「デジタルガバメント」とは何か、その実現によって私たちの生活にどのような変化が起きるのかについて解説していきます。
こんな方におすすめ
- デジタルガバメント実行計画について知りたい方
- デジタルガバメントが私たちの生活に与える影響について知りたい方
この記事でわかること
- デジタルガバメント実行計画の内容
- デジタルガバメントにおけるマイナンバー制度の重要性
デジタルガバメントとは?
人に優しいデジタル化

デジタルガバメントとは「デジタル技術の活用により、行政機関の縦割りや、国と地方、官と民という枠を超えて行政サービスを見直すことで、行政に変革を起こすこと」をいいます。
政府は、デジタルガバメントの実現に向けて次のようなスローガンを掲げています。
「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」
「デジタル」と聞くと、「難しそうだな。。」、「苦手だな。。」と感じてしまい、反射的に敬遠してしまう方も多くいるかと思います。
あらゆる世代、あらゆる産業に従事している方々に寄り添うことなくデジタルガバメントを実現したとしても、国民の利便性は向上しませんし、社会全体にデジタル化によるメリットを及ぼすことができません。
このような背景から、政府はデジタルガバメントを「人に優しく、誰一人取り残さない形で実現」しようと目指しています。
デジタルガバメント閣僚会議とは?
ここでは、デジタルガバメントについて議論が行われている「デジタルガバメント閣僚会議」について説明していきます。
どんな人が出席するの?
デジタルガバメント閣僚会議の構成メンバーは以下のようになっています。

このように、内閣総理大臣をトップに各省庁の大臣が出席することで、省庁を横断するような議論を行っています。また、デジタル改革担当大臣や情報通信分野に精通した政府CIO補佐官も参加します。
何を決めているの?
デジタルガバメント閣僚会議では、後述するデジタルガバメント実行計画を策定しています。デジタルガバメント閣僚会議における1年間の様々な議論を通して、実行計画に毎年新たな項目が加わるなど、ブラッシュアップされていきます。
デジタルガバメント実行計画の内容
デジタルガバメント実行計画には、デジタルガバメントの実現に向けて取り組むべき課題などが記載されています。ここでは、策定された「デジタルガバメント実行計画(2020年版)」の内容について、「マイナンバーカードの普及」、「行政手続きのデジタル化」に絞って解説していきます。

マイナンバーカードの普及
政府は、マイナンバーカードを「最高位の公的な本人確認ツール」としています。また、マイナンバーカ ードの普及拡大が社会全体のデジタル化のカギを握っていると考えています。
国民の本人確認をオンライン上で行うことは、デジタルガバメント実現の重要なポイントです。オンライン上で確かな本人確認を行うため、そしてデジタルガバメント実現のために、公的個人認証を行うことができるマイナンバーカードを普及させることは必須事項なのです。
公的個人認証とは、オンライン上で本人確認を行う手段です。マイナンバーカードに内蔵されている電子証明書を利用することで、運転免許証等の身分証の提示・写しの添付などをせずに、本人確認ができます。
このことから、政府はデジタルガバメント実行計画に、国及び地方公共団体がマイナンバーカードの普及に全力で取り組むことを明記しています。
マイナンバーカードの普及状況は以下の表のようになっています。4月1日現在で国民の30%弱がマイナンバーカードを保有していることになります。


行政手続きのデジタル化
デジタルガバメント実行計画では、行政手続きのデジタル化についても規定されています。特に、行政手続きの「ワンストップサービスの推進」においては、子育て、介護、引っ越し、死亡・相続、社会保険・税のワンストップサービスの推進が検討されています。このような行政手続きのデジタル化は、デジタル手続法に基づいて行うこととされています。

私たちの生活はこのように変わる
ここまで、デジタルガバメントとは何か、またデジタルガバメント閣僚会議やそこで策定されるデジタルガバメント実行計画について解説をしてきました。最後に、これらの国の動きが私たちの生活にどのような影響を及ぼすのかについて解説していきたいと思います。
マイナンバー制度の拡大
デジタルガバメントの実現によって、マイナンバーカードの機能強化も行われます。これにより、私たちは日々の生活においてマイナンバーカードを頻繁に用いることとなります。
例えば、マイナンバーカードの機能(電子証明書)をスマートフォンに搭載することや運転免許証・健康保険証と一体化することが予定されています。この他にも、在留カードや国家資格証との一体化なども見込まれています。
行政手続きが簡単に
デジタルガバメント実行計画では、会社設立やパスポートの発行などの行政手続きなどを順次オンライン化していくことが目指されています。
行政手続きのオンライン化に際して、「本人確認のオンライン化・手数料納付のオンライン化」も行われます。本人確認のオンライン化では、マイナンバーカードの公的個人認証機能の活用などが想定されています。このように、デジタルガバメントの実現によって、私たちの生活はより便利に、シンプルになるといえるでしょう。