近年、スピーディーな行政手続きや公平な社会保障制度を実現する観点から、自治体の電子化が求められています。2021年9月にはデジタル庁が創設される予定であり、行政の電子化はますます進展していく見込みです。自治体の電子化を考える上で欠かせないのがマイナンバーカードの普及です。そこで今回は、なぜ自治体の電子化にマイナンバーカードの普及が必要なのかを解説します。
こんな人にオススメ
✓ マイナンバーカードに関する政府の動向を知りたい人
✓ マイナンバーカードが自治体の電子化に与える影響を知りたい人
✓ マイナンバーカードの現状や課題を知りたい人
この記事でわかること
✓ マイナンバーカードに関する政府の動き
✓ 自治体の電子化に寄与するマイナンバーカードの機能
✓ マイナンバーカードと住民サービスの関係
政府が進める自治体の電子化
日本政府は近年、自治体の電子化を加速させようと取り組んでいます。
ここでは、マイナンバーカードに関する政府の動向に焦点を絞り、政府の取組をそれぞれ解説していきます。
マイナンバーカード普及促進に関する政府の動向
政府はデジタル行政を進める際の重点施策として、マイナンバーカードの普及や利活用を掲げています。
令和元年6月4日のデジタル・ガバメント閣僚会議で示された「マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針」の中では、以下のような方法でマイナンバーカードの普及促進を行うと明記されています。

自治体ポイントとは、自治体指定のボランティアに参加することなどにより得られるポイントで、地域商店やオンラインでのショッピングの際に利用できます。
自治体ポイントを利用するには、マイナンバーカードとマイキーIDの作成が必要です。
マイナンバーカードの健康保険証利用については、2021年3月から開始される予定です。医療機関や薬局などで、順次マイナンバーカードを健康保険証として使うことができるようになります。
マイナポータルにログインすることで自身の特定健診の情報が閲覧でき、本人が希望すればシステム連携により、その情報を医療機関に伝えられるようになる予定です。

【スマホ篇】マイナンバーカードの健康保険証利用の申込方法の手順
また、マイナンバーカードの利用シーンの拡大については、ハローワーク・サービスのデジタル化や納税手続きにおける自動入力などの便利なサービスを拡大し、マイナンバーカードの普及を促進していくことが明記されています。
このように、政府は様々な施策を打ち出すことで、マイナンバーカードを多くの人に利用してもらうよう環境整備を進めています。

マイナンバーカードの普及状況
マイナンバーカードの普及に向けては、マイナンバーカードを持つメリットを周知することが必要不可欠です。
2020年12月に行われた国のデジタル化に関するワーキンググループでは、マイナンバーカードを持つメリットを高めるため、運転免許証とマイナンバーカードの一体化のスケジュールが前倒しされることが表明されました。
政府の普及施策などの取り組みにより、マイナンバーカードの普及率は1年間で約4倍にまで増加しています。
2021年2月時点でのマイナンバーカードの交付枚数は約3100万枚であり、人口に対する交付枚数率は25.2%となっています。
ちなみに、2020年12月末時点でのパスポート保有率は約2693万枚であることから、マイナンバーカードが国民に普及していることがわかります。
交付枚数率を見ると、特別区や政令指定都市など都市部の交付枚数率が全国平均より高い傾向にあることがわかります。
自治体の電子化になぜマイナンバーカードが必要なのか
マイナンバーカードが普及することで、以下のようなメリットが生まれます。
- 自治体の証明書発行業務の効率化
- 各種申請手続きがスムーズになる
- 給付金支給などのスピーディーな対応
自治体の証明書発行業務の効率化
マイナンバーカードを利用することで、全国のコンビニエンスストア約55,000店舗で各種証明書の写しなどが取得可能です。
具体的には、以下の証明書をコンビニ等で取得可能です。
- 住民票の写し
- 印鑑登録証明書
- 住民票記載事項証明書
- 各種税証明書
- 戸籍証明書
- 戸籍の附票の写し
マイナンバーカードがさらに普及することで、多くの住民が役所まで足を運ばなくても証明書を取得できるようになります。
これにより、住民の利便性の向上だけでなく、行政側の窓口業務の負担軽減や証明書交付事務コストの低減が実現します。
自治体のメリット
☆ 窓口の負担軽減
☆ 事務コストの低減
住民のメリット
☆ コンビニで気軽に証明書を取得できる
電子申請機能で手続きがスムーズになる
マイナンバーカードは本人確認や電子署名を一気通貫で行える機能を持っているため、電子申請機能により行政手続きをスムーズに行うことができるようになります。
マイナンバーカードには「署名用電子証明書」と「利用者証明用電子証明書」が搭載されており、これによりe-Tax等の電子申請やマイナポータルへのログイン、コンビニでの住民票の発行などが可能になります。
マイナンバーカードが普及することで、各種行政手続きが電子化され、スピーディーな手続きが可能になります。

自治体のメリット
☆ 窓口の負担軽減
☆ 事務コストの低減
住民のメリット
☆ 税の申告を電子申請可能
☆コンビニで気軽に証明書を取得できる
社会保障のスピーディーな対応
マイナンバーカードは公平・公正な社会の実現にも寄与するものとされています。
マイナンバーカードが普及すると行政は住民の所得や給付金の受給状況などを把握しやすくなるため、給付の不正受給や負担を免れることを防止し、適切な社会保障を実現できます。
また、マイナンバーカードがあることにより、給付金を電子申請することが可能になるため、いざというときにも早く恩恵を受けることができます。
マイナンバーカードが普及することで、より多くの対象者がスピーディーに給付金を受けられると予想されます。
自治体のメリット
☆ 不正受給の防止
☆ 住民の所得や給付金に関する受給状況を把握できる
住民のメリット
☆ 早期に給付金などを受給できる
マイナンバーカードの普及が自治体電子化のカギ
マイナンバーカードが普及し、自治体の様々なサービスが電子化することで、自治体の業務の効率化、各種証明書の発行など住民サービスの向上、スピーディーな社会保障の実現など、多くのメリットが得られます。
政府の普及促進施策により、今後も自治体サービスの向上が図られるでしょう。


