マイナンバーカードの裏面のコピーを保管できる事業者は、法律で厳しく規制されています。また、その管理についても細かく定められています。今回の記事では「マイナンバーカード裏面」に話を絞り、関連する法規制や要注意点を取り上げます。
気をつけたい「マイナンバーカード裏面のコピー」
マイナンバーカードの裏面には、マイナンバー(個人番号)が記載されています。
個人番号が他人に知られたからといって、その人の情報がすぐさまネットで閲覧されてしまうというわけではありません。
しかし、個人情報である以上はみだりに他人に教えるべきではなく、カード裏面のコピー・保管も法律で規制されています。
個人番号を保管できる事業者
銀行で預金口座を作る際、マイナンバーカードの裏面のコピーは必要不可欠です。また、行政機関での諸手続きの際にもカード裏面のコピーを求められることがあります。
さらに、雇用主が従業員の個人番号を取得する必要があり、その際にもカード裏面のコピーが従業員に要求されることも。そしてこれらの行為は、法律で厳格に管理されます。
たとえば、ネットカフェやフィットネスクラブ、ポイントカードの会員証を作成するためにマイナンバーカード裏面のコピーを事業者が求めることができません。
総務省の公式サイトには、以下のように記載されています。
マイナンバーカードは、、個人番号をコピー・保管できる事業者は、行政機関や雇用主等、法令に規定された者に限定されているため、規定されていない事業者の窓口において、個人番号が記載されているカードの裏面をコピー・保管することはできません。
総務省|マイナンバーカード
マイナンバーカード裏面の写真撮影とそのアップロードについて
また、マイナンバーカード裏面をスマホのカメラで撮影してアップロードする場合にも注意が必要です。
以下、セブン銀行の公式サイト「本人確認書類の画像をアップロードする際のご留意事項」を見てみましょう。運転免許証、健康保険証の写真の撮り方と同時に、マイナンバーカードの写真撮影についての記載もあります。
マイナンバーカードについてのご注意
セブン銀行|本人確認書類の画像をアップロードする際のご留意事項
・本人確認書類は「官公庁の身分証明書(写真有)」を選択してください。
・個人番号が記載された裏面はアップロードしないようにご注意ください。
このように、マイナンバーカードの場合、撮影するのはあくまでも表面のみで、個人番号が記載された裏面は「アップロードしないように」という注意を促しています。
次に、ドコモオンラインショップの「本人確認書類について」というページを見てみましょう。
・現住所が記載されているもの。
docomo OnlineShop|本人確認書類について
・「通知カード」は受付不可。
・カード表面(顔写真あり)のみ送付願います。「マイナンバー」が記載された裏面は送付しないようご注意ください。
オンラインで個人情報を送付する場合、銀行でも通信会社でもマイナンバーカード裏面の画像は添付しないよう呼びかけています。
裏面をコピーしてしまった場合の罰則
SNSでは「マイナンバーカード裏面を不用意にコピーしてしまったら罰則がある」という話が拡散されているようです。
しかし、それは誤解の含んだ表現で、実際は「番号の取扱者」に責任があります。
「自分の持っているカード裏面をコピーしたら罰則がある」ということではなく、それを取り扱う事業者、または特定の公務員に罰則が科されます。
以下は、政府が公開しているマイナンバー制度における罰則です。
対象者 | 行為 | マイナンバー法の法定刑 | 個人情報保護法 | 住民基本台帳法 |
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番号の取扱者 | 個人番号利用事務、個人番号関係事務などに従事する者 や従事していた者が、正当な理由なく、業務で取り扱う 個人の秘密が記録された特定個人情報ファイルを提供 | 4年以下の懲役or200万円以下の罰金 (併科されることあり) (第48条) | 2年以下の懲役or100万円以下の罰金(第171条) | - |
番号の取扱者 | 個人番号利用事務、個人番号関係事務などに従事する者 や従事していた者が、業務に関して知り得たマイナン バーを自己や第三者の不正な利益を図る目的で提供し、 または盗用 | 3年以下の懲役or150万円以下の罰金 (併科されることあり) (第49条) | 1年以下の懲役or50万円以下の罰金(第175条) | 1年以下の懲役or50万円以下の罰金(第43条) |
誰でも | 人を欺き、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は、財物の 窃取、施設への侵入、不正アクセス行為等によりマイナ ンバーを取得 | 3年以下の懲役or150万円以下の罰金 (第51条) | - | - |
誰でも | 個人情報保護委員会から命令を受けた者が、個人情報保 護委員会の命令に違反 | 2年以下の懲役or50万円以下の罰金 (第53条) | 1年以下の懲役or100万円以下の罰金(第173条) | 1年以下の懲役or50万円以下の罰金(第43条) |
誰でも | 個人情報保護委員会による検査等に際し、虚偽の報告、 虚偽の資料提出をする、検査拒否等 | 1年以下の懲役or50万円以下の罰金 (第54条) | 50万円以下の罰金(第177条) | 30万円以下の罰金(第46条、第47条) |
誰でも | 偽りその他不正の手段によりマイナンバーカードを取得 | 6月以下の懲役or50万円以下の罰金 (第55条) | - | 30万円以下の罰金(第46条) |
【結論】自分のマイナンバーカード裏面をコピーしても罰則はない
以上、自分のマイナンバーカード裏面をコピーしただけでは、罰則等はないことを確認しました。
一般的に、マイナンバーカードの罰則は特定の公務員や番号の取扱者を対象にしています。自分のマイナンバーカードが他の事業者から適切に扱われているか注意しましょう。