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【エストニアのシニア100人に聞いてみた!】高齢者は電子政府サービスを使うのか?

この記事では、xID株式会社の齋藤アレックス剛太が世界最高齢のプログラマー若宮正子氏と共同で実施した調査の結果をもとに、エストニアにおける高齢者のデジタルサービス利用の実態に迫ります。

こんな人におすすめ

  • エストニアの電子政府の実態に興味がある方
  • デジタルデバイドに関心がある方

この記事でわかること

  • エストニアにおける高齢者のデジタルサービスの利用実態
目次

調査の背景

日本は今、超少子高齢化という問題を抱えながら、急速に行政のデジタル化を進めています。そうした中で、高齢者を含む、全ての人にとって便利な、誰1人取り残さないデジタル社会の実現が求められています。

一方で行政申請の99%をデジタル化し、電子国家として名を馳せているバルト海の小国エストニア。xID株式会社の齋藤アレックス剛太と世界最高齢のプログラマー若宮正子氏は「同国では高齢者はデジタルデバイスをうまく使いこなせず、取り残されているのでは?」という疑問のもと、エストニアにおける高齢者のデジタルサービス利用の実態調査を行いました。

調査方法

  • 言語:英語・エストニア語
  • 調査対象者:エストニア在住で60歳以上の方
  • 回答方法:WEBアンケート(代理回答も可)
  • 設問数:全24問
  • ※Q10(電子政府関連サービスの利用有無)の回答次第で設問を分岐
  • 有効回答数(n):100
  • 調査期間:2019年6月〜2019年12月

回答方法をWEBアンケートに限定しているため、回答者自身ないしは一次の関係者が必ずデジタルサービスを利用しています。また、ロシア語のみを話す高齢者は自力で回答することができないため、ロシア系エストニア人の声を拾えていない可能性があります

エストニアにおける高齢者の電子政府サービス利用の実態

回答者の84%が電子政府サービスを利用

今回の調査では、回答者の84%の方がエストニアの電子政府サービスを利用していました。男女、地域、回答方法(本人回答/代理回答)による大きな差異は見受けられないため、この結果は同国の電子政府サービスが広く高齢者に受け入れられ、実際に利用されていることを物語っていると言えます。

また、年齢が上がるにつれて電子政府サービスの利用率は下がっていますが、後期高齢者も一定以上の割合で電子政府サービスを利用していることがわかりました。

以上の結果から、エストニアでは高齢者であってもデジタルサービスを利用している人が一定数いることがわかりました。回答者の中でも、80代以降の後期高齢者が高い割合でデジタルサービスを利用している点は驚きです。

この調査では、e-Estoniaが公開している定義に基づき、以下のサービス群を「電子政府サービス」としています。

回答者の93%が「デジタル化によって日常生活の幸福度はより向上した」と考えている

さらに、電子政府サービスを利用していない層を含めた、回答者の93%が「デジタル化は日常生活の幸福度を向上させた」と回答しました。具体的には「たくさんの時間を節約してくれたおかげで、孫と遊ぶ時間ができた」、「 人間が移動せずともサービスを利用できるようになったのはありがたい」といった声が挙がりました。

電子サービスを利用している回答者を対象とした設問では、デジタルサービスを利用するメリットとして「時間を節約することができる」「外に出歩く必要がない」を挙げる高齢者が回答者の8割を占めました。

これらの結果から、多くの回答者が電子政府サービスを使っていただけでなく、デジタル化の恩恵を実際に感じていることが明らかになりました。高齢者にとって、役所の待ち時間や寒い冬の中での外出は大きな負担であり、「時間や場所の制約から解放される」ことが、高齢者がデジタル化の恩恵を最も感じる要素であることがわかります。

デジタルサービス利用者の学習方法

以上の結果から、エストニアにおいては多くの高齢者がデジタルサービスを活用し、日常生活の利便性向上を実感していることがわかりました。では、彼らはどのようにしてデジタルサービスの利用方法を習得したのでしょうか?調査の結果、エストニアの高齢者の多くは「自己学習」または「家族から学習」によってデジタルサービスの利用方法を習得していることが明らかになりました。一方で、「政府のプログラムで学習」したと回答したのはわずか2%でした。

以上の結果から、高齢者でも自己学習によってデジタルサービスの利用方法を習得することができる層が一定数いること、そしてデジタルサービスの利用方法習得には家族などの周囲のサポートが大きな役割を果たしていることが分かりました。高齢者が自発的にデジタルサービスを利用することを前提とした、ユニバーサルなサービス設計が重要であることが読み取れます。

デジタルデバイドを解決するカギは何か?

「デジタルデバイドを解決するカギは何か?」という質問に対しては回答者の64%が「家族や政府からのサポート」と答えており、デジタルデバイドの解消において、家族や周囲のサポートが不可欠であることがわかります。一方で「経済的にお得なサービス」と答えた回答者が14%に留まったのも、注目すべき結果でしょう。

この結果に対して、調査を共同で実施した若宮氏は「日本には、町内会・老人会のような繋がりもある。IT認定員制度を設けて、高齢者to高齢者の学習エコシステムを作るべき」とコメントしています。

誰1人取り残さないデジタル社会へ

この調査で、エストニアの電子政府サービスは高齢者にも利用されており、日常生活の利便性向上に大きく貢献していることがわかりました。同国で実現しているこうしたデジタル社会のあり方は、今後日本においてデジタルデバイドを解消し、誰1人取り残さないデジタル社会を実現する上で重要な指針となるでしょう。

高齢化が急速に進む日本の自治体においてもデジタルデバイドの解消は急務であり、そのための施策が盛んに行われています。みんデジでは、兼ねてよりxIDと連携しデジタルデバイド解消に向けた取り組みを行っている石川県加賀市の事例を特集する予定です。

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なお、この記事で取り上げた、エストニアにおける高齢者のIT利用実態調査の詳細は以下のプレスリリースよりご確認ください。

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