【自治体職員必見】総務省発表の“令和2年度地方自治情報管理概要”を分析

総務省で毎年実施されている電子自治体の推進状況調査の結果が公表されました。本調査では全国47都道府県と1,741市区町村の回答結果が集計され、また市区町村ごとの回答も参照できる非常に貴重な調査となっています。本記事では、元静岡県庁職員で、現xID官民共創推進室室長を務める加藤が、調査結果における主要な内容を分析します。

目次

調査結果の概要

第1節 電子自治体の推進体制等

まず最初に、1団体あたりの情報担当課職員人数について、直近調査年の令和2年度と10年前の平成23年度を比較してみました。デジタル化の推進が進められる中にあっても、その中核人材である情報担当課職員数には大きな変化がないことが分かります。

外部人材の登用はどうでしょうか?

IT分野の専門人材の外部登用について、CIO補佐官の任用状況を同じく10年で比較すると「CIO補佐官に外部人材を任用する団体数」は29団体から35団体に増加しています。全体の自治体数からするとまだ伸びしろが大きい数字と言えます。

少し別の視点から、CIO補佐官の登用数字をみます。CIO補佐官はまだまだ行政内部の役職者をあてるケースが大半ですが、そのうち外部人材を任用する団体の割合を類型を分けて整理しました。

上図で読み取れるように、CIO補佐官に外部人材を登用している団体は都道府県、特別区、指定都市という規模の大きい団体であり、一般市、町村ではほぼCIO補佐官の外部人材の登用はありません。なお、市のうちでCIO補佐官の外部人材登用をしている団体は以下17団体です。

気仙沼市、須賀川市、常総市、鶴ヶ島市、船橋市、八王子市、昭島市、西東京市、柏崎市、松本市、掛川市、鈴鹿市、高槻市、芦屋市、大牟田市、田川市、那珂川市

第2節 行政サービスの向上・高度化

行政サービスのオンライン化の代表的なデータとして「申請・届出等手続をオンライン化するためのシステムの導入状況」を確認すると以下のような状況です。

手続きをオンライン化するためのシステムはすべての都道府県、特別区、指定都市で導入され、一般市においても86%と多くの自治体で手続きのオンライン化が進んでいると言えます。調査データ外ですが、システムは導入されているが利用がしにくかったり、周知が行き届いていなかったり、利用状況の課題も聞かれるため住民にとって使いやすいサービスの用意が必要です。

また、上記「オンライン化するための通則条例の制定状況」が示すように、システムは導入されているものの、オンライン化のための条例が未整備の自治体も市町村では少なくない状況です。これは、急速なデジタル化の要求によるギャップかもしれませんが、手続きのオンライン化など実運用する際に判断根拠が不足する場合も考えられ、早い整備が求められます。

第3節 業務・システムの効率化

システムを効率的に運用するには、カスタマイズを最小限に抑えることが重要です。カスタマイズがなされた独自システムは保守・メンテナンス費用も高くなります。また、システムの更新の際に他のベンダーを競争に入れられず調達費用が高止まりする可能性が高くなります。

カスタマイズを最低限に抑えるためのルールの整備状況」は全体的に低い状態となっています。ただし、「カスタマイズを行う場合の庁内における必要性を十分に精査する仕組みの導入状況」については全体の65.6%が導入しており、その基準を明文化することが求められます。

また、システム利用の効率化という観点では、複数自治体でシステムを共有する「自治体クラウド」に関するデータが重要です。

以下は、自治体クラウド導入によるコスト削減効果についての回答のヒートマップです。
緑が濃いほど高い数値、赤が濃いほど低い数値です。

評価がやや難しい結果ではありますが、共同化による削減効果1割程度の自治体が多い状況となっています。若干の傾向として人口規模の大きい自治体の方が削減効果が大きくなっています。また、「削減効果なし」とする団体が全体の2割程度いることから、単にシステムを共有するだけでは効果が限定的であることが分かります。成功事例を研究し、コスト削減効果を高めるための共同化の方法を検討する必要があります。

第4節 情報セキュリティ対策の実施状況

セキュリティ対策の結果詳細は原調査を確認いただきたいですが、一点、ICTにかかる業務継続計画(以下、BCP)の策定状況を取り上げます。BCPとは、災害やテロ攻撃などが起きた場合にその被害を最小限にとどめ事業の継続、早期復旧をするための優先順位や行動をあらかじめ定めた計画のです。

日本は災害大国のためデータの保管先やサイバー攻撃を想定した対策などあらかじめ検討し、また技術の進歩に合わせて見直しをしていくことが必要となります。上記を見ると、一般市や町村の策定状況が低く、これは人員体制の不足によるものもあるのではないかと推察します。自治体システムは扱う範囲も広く専門知識も必要であるため、外部人材の登用や広域での対応・共同利用も有効と考えられます。

冒頭にも記載しましたが、本調査は市町村単位の個別回答も参照でき、また経年データも整っているため分析がしやすいものです。ぜひ、本編にもあたってみていただき、今後の施策検討に活用いただければ幸いです。

■地方自治情報管理概要(地方公共団体における行政情報化の推進状況調査結果)

https://www.soumu.go.jp/denshijiti/060213_02.html

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