高齢者のスマホ活用促進 すぐ分かる加賀市のデジタルデバイド対策事例

みんデジはこれまで石川県加賀市が実施する行政手続きの電子化やマイナンバーカードの普及に向けた施策について取り上げてきました。全ての市民がこうした取り組みの恩恵を受けられる環境をつくるため、同市は行政のデジタル化と並行して高齢者を対象としたデジタルデバイドを解消するための施策を展開してきました。

この記事では加賀市がデジタルデバイド解消施策として具体的にどのような取り組みを行なっているのか、取り組みのなかでどのような成果や障壁があったか、施策を通してどのような発見があったのかをご紹介します。

この記事でわかること

  • デジタルデバイドとは
  • 石川県加賀市で行われているデジタルデバイド解消施策の内容
  • 加賀市がデジタルデバイド解消施策を進める中で気づいた課題や示唆

こんな人におすすめ

  • 行政が行うデジタルデバイド解消施策に関心のある方
  • 世代間のデジタルデバイドに関心のある方
目次

加賀市とデジタルデバイド解消施策

デジタルデバイドとは

デジタルデバイド(Digital Divide)とは一般的に日本語で「情報格差」と訳される言葉で、パソコンやインターネットなどのIT技術の恩恵を受けられる人と受けられない人の間に生じる格差のことを表します。

所得や年齢、住む地域、人種や教育の違いなど、デジタルデバイドをもたらす要因は数多く挙げられますが、とりわけ高齢化が進む日本においては、若者と比較的インターネットに触れる機会が少ない高齢者との間にあるデジタルデバイドに対する課題意識が高まっています。

加賀市がデジタルデバイド解消に勤しむ理由

加賀市もまた、少子高齢化とそれに伴う人口減少に直面している自治体の一つです。また、同市は城下町や市役所などがある地区や温泉地区など、主要な7つの地区が分散的に位置し、きめ細かな行政サービスを市全体に行き届けることが難しくなっていることから、その打開策としてスマートシティ推進と行政サービスのデジタル化に向けた動きを加速させています。

加賀市がどれだけ行政サービスのデジタル化に力を入れても、市民がそれを使えなければ意味がありません。誰一人取り残すことなく高齢者を含む全ての市民がそうした取り組みの恩恵を受けられる基盤を築くため、同市は高齢者を対象としたデジタルデバイド解消施策を積極的に展開しています。

加賀市におけるデジタルデバイド解消施策

本記事では2020年11月から2月にかけて実施されたスマホの使い方教室、翌年の6月から実施されているスマートフォン購入助成制度、そしてスマホよろず相談所という3つの施策を取り上げて解説します。

スマホの使い方教室

昨年に実施されたスマホの使い方教室は、総務省が公募していた「デジタル活用推進支援員推進事業 地域実証事業」の一環として行われました。

デジタル活用推進事業 地域実証事業:

ICT機器やデジタルサービスの利用方法について、高齢者等が身近な場所で相談や学習を行えるようにするための「デジタル活用支援員」の活動や実施体制等について検証する事業のこと。

加賀市は、普段からスマホを使いこなしている市内の高齢者や市内の携帯ショップ、IT企業の社員に支援員として協力してもらい、スマートフォンの電源を入れるところから始める初級教室や、アプリのインストールや初期設定の方法までを教える応用編の教室を開催しました。

2020年11月から2021年2月の間に4回の教室が開催され、66人の市民が参加しました。また、教室に参加した多くの市民が翌年以降に開催する個別相談などの別の取り組みにも参加しており、市民のスマートフォンや電子行政サービスの活用を継続的に支援するための導入施策として成果を残しました。

スマホの使い方教室は2021年以降も定期的に開催され、スマートフォンを持っていない人に対する教室の他、防災メールの設定方法などの発展的な内容まで扱われています。

スマートフォン購入助成制度

加賀市のマイナンバーカード交付率は2021年8月1日時点で68.5%に達しており、全国市区中トップの普及率となっています。また、マイナンバーカードと連携したデジタルIDアプリ「xID」を活用し、161の行政手続きを電子化することにも成功しました。

マイナンバーカードをスマートフォンのNFCで読み取り、個人認証を行うという手法がスタンダードとなる便利なデジタル社会の実現に向けて、同市は高齢者にマイナンバーカード対応スマートフォンの所持を促すための取り組みとして「スマートフォン購入助成制度」を開始しました。

市が指定する携帯ショップや公共施設などで開催されているスマホ教室に参加することで「受講証明書」を受け取ることができ、市内の携帯ショップで証明書を提示することで市からマイナンバーカードの読取に対応したスマートフォン購入の助成を受けることができます。

スマホよろず相談所

昨年に開催されたスマホの使い方教室のなかで課題の一つとして浮かび上がったのが「教室」という形式を取ることの難しさでした。参加する市民の間には、スマートフォンを持っているかどうかというスタートラインの違いや、参加者がそれぞれ持っている悩みの違いなどが多くあり、全ての参加者のニーズに答えることが困難だったのです。


参加者の多様なニーズや悩みに対応するため、2021年7月から設置されたのがスマホよろず相談所です。

よろず相談所では主にスマートフォン購入後の悩みや質問に対応しており、スマートフォンの利用プランやインターネットの利用方法などを行政という公正な立場で相談することができる貴重な窓口として機能しています。

それぞれの施策から得られた課題と示唆

これまで加賀市で講じられてきたデジタルデバイド解消施策から、我々はどのような示唆を得ることができるのでしょうか。「施策の実施形態」「高齢者のデジタルデバイスに対する姿勢」という2つの視点に分けて整理します。

施策の実施形態について

2020年に開催されたスマホの使い方教室では、参加者のスタートラインや悩みがそれぞれ異なったため、一人一人のニーズに答えることが困難でした。そうした課題意識から、個別面談形式で高齢者のスマートフォンに関する悩みに応えるスマホよろず相談所が開催されましたが、その参加者の多くは、昨年にスマホの使い方教室に参加した人たちでした。

「参加者個々のニーズに答えられるか」という視点でみれば教室形式の施策には一定の制約がありましたが、後続のスマホよろず相談所のような施策に円滑に参加してもらうための導入部分としての役割を果たしていることがわかりました。

高齢者のデジタルデバイスに対する姿勢について

スマホの使い方教室の参加者からは多くの肯定的な反応があり、なかでも「とても楽しく勇気が湧いた」「ますますスマホに興味が湧いた」という意見が目立ちました。

こうした施策によって参加者は単にスマホの使い方を習得できるだけででなく、一種の不安感を払拭し、デジタル技術に対する心の在り方を変えることにつながっています。

資料のダウンロード

本記事でご紹介したスライドを含む、石川県加賀市のデジタルデバイド解消施策特集の資料は以下のボタンからダウンロードいただくことが可能です。

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本資料を通じてxIDにご関心を持ってくださった方は、是非xID株式会社の問い合わせフォームよりご連絡ください。

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